三重大学

研究者紹介

研究者紹介

Researcher

生物資源学研究科
生物圏生命科学専攻

西谷 響Nishitani Hibiki

西谷 響
研究テーマResearch theme
個体同士の付き合いが流動的に変化するミナミハンドウイルカを対象として,本種の社会が,外的な攪乱に対してどれほどの頑健性を有するのかを調べています.
研究内容の概要Overview
イルカ・クジラ類の社会を見渡すと,ほとんどの時間を独りで生きるものから,生涯にわたり同じ個体と生きるものまで,その様式には多様性が認められています.近年,群れの結束が強いシャチにおいては,外的な攪乱により減少した個体数が回復するには長期間を要することが報告された一方,ほとんどの時間を単独で生きるザトウクジラにおいては,減少した個体数が急速に回復することが報告されました.これらの報告より,私は「外的な攪乱に対する集団の頑健性は,それぞれのイルカ・クジラの有する社会的な特徴に制限されるのではないか」という仮説を立てました.この仮説の検証に向けて,私は,個体同士の付き合いが流動的に変化するミナミハンドウイルカを対象として,本種の社会が,外的な攪乱に対してどれほどの頑健性を有するのかを調べています.研究は東京都の御蔵島と小笠原群島にて実施しており,野生のイルカの水中観察を主な手法としています(図1).水中で撮影した写真や映像から個体を1頭1頭識別し,個体同士の社会交渉を長期にわたり調べています.個体同士の社会関係を要約することで描き出される社会構造(図2)が,攪乱の前後でどのように変化するかに注目して,解析を進めています.

図1. 対象種のミナミハンドウイルカ

図2. 小笠原群島に生息する本種の社会構造

研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society
研究地である御蔵島と小笠原群島では,イルカを対象とした観光業が地域の経済を支える重要な産業の一つとなっています.加えて,老若男女問わず人気のあるイルカは,離島地域の大きな魅力となり,島の人口や出生率の増加など,地域の活性化にも寄与しています.本研究成果を,観光資源であるイルカの保全管理に役立てることや,専門的な知識を観光の現場に落とし込むことで,地域振興に寄与することを目指しています.
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