研究者紹介
Researcher
工学研究科
材料科学専攻
安田 信太郎Yasuda Shintaro

- 研究テーマResearch theme
- 高分子膜表面の化学的/幾何学的な構造制御による生体親和性の発現機構の解明
- 研究内容の概要Overview
- 機能性材料では、外部と直に接触する表面では内部とは異なる性状が求められる場合があります。例えば人工血管などの医用材料では、血液と接触した際に血栓形成を抑制するなどの生体親和性が求められます。
汎用高分子の多くは非水溶性であり、体内での使用で溶出する心配がないことから医用材料に適した特性を有している一方で、生体親和性に乏しいため、医用材料への応用が難しく、長期間にわたって高い生体親和性を示す汎用高分子材料は開発されていません。本研究では、材料表面で生体親和性を発現させるためにプラズマ処理法を用いた表面改質を行っています。プラズマ処理には、表面への任意の官能基の付与およびエッチングの効果があり、表面を親水化する目的で酸素官能基の導入が行われています。一方、プラズマ処理によるエッチングは、プラズマ活性種を制御することで分子結合の組み換えや試料表面にマイクロスケールの凹凸を作製することが可能です。
本研究では、プラズマ処理法による化学的な効果である官能基の付与だけでなく、幾何学的な効果として表面に微細な凹凸を形成し、その幾何学的な大きさと吸着タンパク質の大きさとのサイズ効果を組み合わせることで、汎用高分子に優れた生体親和性表面を構築することを目的としています。
- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society - Covid-19の治療法で広く知られるようになった体外式膜型人工肺(ECMO)では、生体親和性に優れた高分子であるポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)がコーティング剤として使用されるなど、様々な医用機器に高分子が使用されています。汎用高分子で長期間の生体親和性を実現することにより、医用機器の安全性向上やコスト低減など、さらなる発展が期待されます。