三重大学博士課程学生支援プロジェクト

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研究者紹介

SPRING・フェローシップ制度研究者紹介

Researcher

医学系研究科
生命医科学専攻

磯野 加奈Isono Kana

磯野 加奈
研究テーマResearch theme
エナメル芽細胞と象牙芽細胞を別蛍光で同時標識できるマウスを用いたエナメル芽細胞・象牙芽細胞特異的遺伝子欠損による象牙質の補完メカニズムの解明
研究内容の概要Overview
象牙質構成タンパク質の主要成分の1つであるDentin Sialophosphoprotein (DSPP)を欠損させたDsppGFF/GFPノックインマウス,エナメル質構成タンパク質の主要成分の1つであるAmelogenin (AMELX)を欠損させたAmelxtdTomato♂ノックインマウス,さらに両マウスを掛け合わせたDSPP, AMELX欠損マウス(DsppGFF/GFP; AmelxtdTomato♂)を用いて先天的な歯の異常状態を誘導し,正常状態と比較,観察して歯の性状解析を行う.
これまで電子顕微鏡(SEM)観察により,DSPPを欠損したマウスでは象牙質に不規則な構造が観察され,AMELXを欠損したマウスでは薄くなったエナメル質が観察された.DSPP,AMELX両方のタンパク質を欠損したマウスでは象牙質が不規則で薄いエナメル質の歯が観察された(図1).また顕微鏡観察において,両タンパク欠損により起こされた脆弱化した象牙質では,エナメルマトリックス蛋白と象牙質マトリックス蛋白の両者を発現する正常では殆ど認められない細胞により補完されている像が認められた.
本研究で認められた,象牙質を中心とした歯の硬組織の異常の補完がいつ,どのような細胞により起こっているのかを象牙質構成タンパク質に着目して調べていきたいと考えている.

図1.BS-SEMによる3か月令のマウス前歯(第一臼歯直下)の冠状断

研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society
エナメル質形成不全症(Amelogenesis imperfecta), 象牙質形成不全症(Dentinogenesis imperfecta)の先天的に歯の形成障害をおこす疾患があり,当研究室で作成したマウスはこの疾患モデルとなる.遺伝的因子によっておこる疾患の仕組みを解明することは,歯の発生過程において遺伝子がどのような働きをしているかを明らかにすることにつながり,歯の再生や再構築といった新たな治療法を生み出す基礎的知見になると考えている.
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