研究者紹介
Researcher
地域イノベーション学研究科
地域イノベーション学専攻
韓 清揚HAN QINGYANG

- 研究テーマResearch theme
- 法廷通訳における誤訳削減を目指した教育研究
- 研究内容の概要Overview
- 近年、日本国内における外国人住民の増加に伴い、多文化共生社会の実現が急務となっている。その中で、法廷通訳は外国人の権利保障と司法の公正性を支える重要な存在である。しかし、通訳人の負担過重や教育体制の遅れにより、特に誤訳が多発し、裁判における通訳の質と正確性が一層求められている。本研究は、法廷通訳における誤訳のうち、とりわけ頻度の高い文型を中心に、誤訳の特徴と原因を多角的に分析するものである。従来の研究では、語彙や表現の難易度よりも、文末形式に起因する意味のずれが大きな課題であることが明らかになっている。
本研究では、先行研究で誤訳が多いと指摘されている否定疑問文を中心に、訳出パターンを可視化し、誤訳が生じやすい文型や語用論的要因を整理する。その分析結果をもとに、通訳教育における指導ポイントを体系化し、誤訳防止に特化した教育への提言を行う。これにより、通訳者養成の質向上と、より公正な司法手続きの実現に貢献することを目的としている。
- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society - 本研究の成果は、法廷通訳の現場に還元することを目指している。具体的には、誤訳が起こりやすい文末表現や語用論的特徴を整理し、通訳者が実務で直面する課題を事前に学習できる教材作成への提言として提供する。また、実務と学術の橋渡しを行い、訳出パターンを踏まえた学習支援の方法も提示し、通訳者個々の負担軽減やスキル向上に寄与する仕組みを構築する。さらに、自治体・司法支援機関との連携を通じ、多文化共生社会の実現に向けた言語支援体制の強化にも役立てることを想定している。