研究者紹介

Researcher

生物資源学研究科
資源循環学専攻

仁平 岳登Nihei Gakuto

仁平 岳登
研究テーマResearch theme
昆虫の捕食回避戦略の有効性と多様化プロセスの解明
研究内容の概要Overview
生物の捕食回避戦略は、色彩・形態・行動といった複数の形質が相関して進化することによって効果的に機能しています。アゲハチョウ類の幼虫には鳥のフンに擬態している白黒色のもの(マスカレード戦略)と葉の色にカモフラージュしている緑色のもの(隠蔽戦略)があり(図1)、それぞれの戦略に応じて形態や行動が相関して進化していると考えられます。そこで本研究では、アゲハチョウ属の幼虫を対象に、異なる捕食回避戦略が有効に機能するための条件とその多様化プロセスを解明します。この研究によって、白黒と緑色という異なる体色がそれぞれの捕食回避効果を高めるような体サイズや生息場所とワンセットになって進化してきたことを示せるでしょう。

図1 種・齢によって体色の異なるアゲハチョウ

研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society
アゲハチョウ類は子供たちにも馴染みの深い昆虫であり、幼虫が鳥のフンに擬態していることは世間でもよく知られている一方で、多様な捕食回避戦略の中でもマスカレードは研究が進んでいません。これはすなわち、地域の身近な生物のナチュラルヒストリーにも未解明の現象が隠されていることを示唆するものです。したがって、本研究は同分野の研究者にとどまらず一般の人々の自然科学に対する見方にも新たな視点を与える可能性を秘めています。とくに本研究で材料として用いているナガサキアゲハは亜熱帯域に分布する種であり、三重県など主に南方の地域に生息していることから、地域の生物相に対する関心を喚起できる可能性があります。
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