研究者紹介
Researcher
生物資源学研究科
資源循環学専攻
白鳥 新之助Shiratori Shinnosuke

- 研究テーマResearch theme
- 「気候変動下の栽培適応に向けたナスの高温ストレス反応性の解析と短時間スクリーニング法の開発」
本研究では、ナス(Solanum melongena)を対象に、光合成などの栄養成長と収量や果実品質を含む生殖成長の両面から熱ストレス反応性を解析しています。また、葉の温水による短時間の熱ストレス処理と光合成の計測により、熱ストレス耐性スクリーニングの簡便化を目指して研究を進めています。高温下でも比較可能な評価枠組みと客観的な指標を整備することを目的としています。
- 研究内容の概要Overview
- 地球温暖化により高温の出現頻度が増加し、開花・結実期の熱ストレスが減収や外観・着色の変動を招いています。一方で現状では、人工気象室や夏季圃場で長期に栽培して品種間差を見る以外の比較手段が乏しく、時間と労力を要するうえ、熱ストレス耐性・感受性の仕分けや機構解明に直結するパラメータが不明確という課題があります。
本研究は次の二本柱で進めます。
(1)熱ストレス反応性の解析
実際の盛夏期の高温条件下でナス(Solanum melongena)を栽培し、光合成、花粉稔性、花粉量、結実率、果実品質(果皮色等)を時系列に測定します。得られたデータに基づき、高温によって現れる障害の解析と品種間差の検出を行い、熱ストレス耐性品種と感受性品種を仕分けるとともに、各品種の反応性および熱ストレス耐性機構の解明を目指します。

(2)短時間・簡便な耐性スクリーニング法の検討(狭式温水循環法)
狭式温水循環法を開発し、葉身を温水を循環させたプレートで短時間・均一に加温した直後にクロロフィル蛍光(Fv/Fm等)を計測することで、光合成の応答を簡便に捉える短時間スクリーニングの可能性を検討します。得られた反応から反応立ち上がり温度や回復に要する時間などの客観的な目安を導出し、同一手順・同一条件で短時間に比較できる評価枠組みに落とし込むことで、従来法の時間・労力のボトルネックを解消することを目指します。

- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society -
【猛暑下の安定生産に直結】
高温時にどこから異常が現れるかを"見える化"し,収量と品質の維持に資する判断材料を提供できると考えています。
【耐暑性育種を加速】
短時間・簡便なスクリーニング手順により,耐性の高い系統を同一条件で公平に選抜することを目指しています。
【高温条件で機能する栽培設計】
得られた"目安"(反応の出始め・回復動態)を用いて,作期・地域・作型に応じた高温対応の運用域を設計ができるようになると考えています。