研究者紹介
Researcher
生物資源学研究科
共生環境学専攻
浦畑 夢Urahata Nozomu

- 研究テーマResearch theme
- 農業用水路における定量的かつ効率的なコンクリートの粗さ計測技術の開発
- 研究内容の概要Overview
- 現在,下水道やトンネルといった様々なインフラの老朽化が進行しており,農業に関するインフラも例外ではありません.インフラの老朽化が進行すると,ひび割れ等の劣化の発生が問題となります.そこで,今後の劣化の進行を予測してインフラの最適な補修を行う取り組みが行われています.劣化の進行予測を正確に行うには,劣化の状態の定量的な計測および計測データの蓄積が重要となります.
農業インフラの内,農業用水路(以下,水路という)に着目すると,同様に老朽化による劣化の発生が問題となっており,中でも流れる水や砂による摩耗が進行することで,コンクリート表面の粗さが増大することが問題となっています(図).水路の粗さは,農地への安定的な水の供給を妨げる要因となります.また,更に摩耗が進行すると水路コンクリートの断面が減少し,耐久性に影響を及ぼすこととなります.そのため粗さの状態が評価され,コンクリート表面が補修されます.定量的な粗さ計測技術がいくつか確立されていますが,水路は膨大な総延長(40万km)を有していることから簡便さを優先し,非定量的な目視によって粗さが評価されているのが現状です.そこで,現状の目視評価に替わる定量的かつ既存技術よりも効率的な粗さ計測技術の開発を目指して研究を行っています.
研究では,照明と画像解析を用いた粗さ計測技術の開発を試みています.これまでに,コンクリートに照明光をあて,表面の粗さ(凹凸)によって生じた陰影の面積を画像解析で算出しました.その結果,陰影の面積と粗さには極めて高い相関がみられたことから,照明と画像解析を用いた本計測技術に可能性を示しています.一方で,実験室内での研究に留まっていることから,多くの課題が残っています.博士課程では課題を解決し,計測技術としての確立を最終的な目標として研究に取り組んでいます.

図:粗くなったコンクリート
- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society - 照明と画像解析を用いた本計測技術が確立されることで,定量的な粗さの計測および計測データの蓄積が可能となり,正確な粗さ劣化の進行予測が可能となります.ひいては,持続可能な農業用水路の維持管理に繋がり,日本における食料の安定供給に寄与することができると考えます.