研究者紹介

Researcher

工学研究科
材料科学専攻

ZHANG SHANSHAN

ZHANG SHANSHAN
研究テーマResearch theme
アルブミンコアリポソームを用いた新しいワクチン開発に関する研究
研究内容の概要Overview
リポソームは現在のナノ薬物送達システムの中で最も広く研究され、開発に最も成功しているナノ薬物担持システムの一つです。リポソームは薬物輸送担体として、カプセル化薬物の溶解度の増加、薬物の体内循環時間の延長、薬物の副作用の軽減、などの利点があり薬物輸送の標的性を高めることができます。
しかしながら、リポソーム薬物担持システムは応用面において一般的に以下の問題が存在します。すなわち、貯蔵安定性が比較的悪い、酸化·層状化·薬物漏洩などが発生しやすい、血液循環時間が短い、疎水性の膜のみからなる場合は物理的な強度も低い、などです。これらの欠点のため、リポソーム薬物の臨床応用は限られています。解決手段の一つとして、現在、ヒトの各種タンパク質及び小分子ペプチドを用いてリポソーム担体を修飾すること、特にリポソーム表面特性を改善して生体適合性を高めることが、重要な研究課題となっています。
本研究では、アルブミン修飾リポソームの一般的な製造方法からヒントを得て、これまでと異なった方法を開発することを目的としました。具体的には、アルブミンのコアとリポソーム膜の形成が同時に起こる混合条件を詳細に検討して、より温和、大量、安定かつ効率的に作製する方法を開発すること、さらにリポソームとタンパク質との相互作用を解析しました。本研究により、タンパク質被覆·担持リポソーム設計の一般的な指針を得ることで、新しい剤型のアルブミンコアリポソームが確立されました。
アルブミンコアリポソームを利用して新しいワクチンの開発を目指します。新しい剤型のアルブミンコアリポソームを利用し、新しいワクチンを設計して作製することで、より安全で効率的な治療法を提供できます。

図1 アルブミンコアリポソームの予想

研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society
本研究で確立したアルブミンコアリポソームは、従来のリポソームが抱える安定性や薬物漏洩の問題を改善し、より安全で効率的な薬物送達を可能にします。特にワクチン開発への応用では、強力なアジュバントを必要とせず免疫応答を誘導できる可能性があり、副作用の低減や投与回数の削減につながります。さらに本技術はワクチンのみならず抗がん剤やペプチド薬物にも応用可能であり、難治性疾患や感染症に対する新しい治療戦略を提供します。将来的には製薬産業や臨床現場に還元され、医療負担の軽減と健康社会の実現に貢献することが期待されます。
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