研究者紹介
Researcher
地域イノベーション学研究科
地域イノベーション学専攻
LIU CHANG

- 研究テーマResearch theme
- 外国人向けの防災訓練の改善策についての検討――防災動画の活用
- 研究内容の概要Overview
- 博士後期課程は、多文化共生社会の防災教育効果向上、防災意識から防災行動に移行するために、以下の研究を行う。
研究1:外国人の防災意識向上に関する研究
防災動画は防災教育における有効な手段の一つであるが、外国人を対象とした活用例は散見されるものの、実地の防災訓練と連携して、教育後の行動変容まで評価した研究は、少なくとも現時点では見当たりない。ゆえに、本研究はトランスセオレティカルモデル(TTM)を通じて外国人住民の防災行動段階を可視化し、そして防災動画を活用した啓発・訓練プログラムを多言語で設計・実施する。それに、事前・事後アンケートおよびインタビューを通して理解・意識・行動意図の変化を検証し、その結果に基づき現場で実装可能な改善策を提案する。
研究2:防災意識の啓発から行動への移行に関する研究
ソーシャル・メディアは、災害情報の共有や新たなコミュニティ形成に有効と考えられる。そこで本研究では、YouTube 上の防災関連動画を選定し、当該動画に付されたコメントを収集する。各動画のコメント率に基づいて高・低の二群に分類し、各群からコメントを無作為抽出する。抽出コメントについて「安全性バイアスの表現」および「改善(行動)意欲」の有無を人手で判定し、そのラベルを基準データとして BERT日本語事前学習済みモデルにより二値の自動分類モデルを構築する。訓練されたモデルは、防災動画教材の選定、動画内容の改善、実地の防災訓練との連携最適化に活用できると期待される。
- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society - 本研究は、防災訓練を通じて正常性バイアスを軽減し、防災知識から防災行動への転換を促すことを目的とする。これにより、外国人住民の防災力を高めるだけでなく、多文化共生社会における地域レジリエンスの向上にも寄与する。さらに、災害時に外国人を「助けられる側」から「助ける側」へと位置づけ直す視点は、包摂的で持続可能な防災社会の実現に資する具体的知見を提供する。最終的には、得られた知見を基に、全国の自治体・関係機関で展開可能な外国人向け防災施策のモデル化に貢献することを目指す。