研究者紹介
Researcher
医学系研究科
看護学専攻
齋藤 由里佳Saito Yurika

- 研究テーマResearch theme
- 乳児の栄養方法に関して母親が抱く理想と、実際に選択・実践される方法の間にはギャップが生じることがある。その理想は、母乳・混合・人工栄養といった方法の選択に加え、健康状態、家族や社会的支援、文化的背景など多様な要因によって形成される。このギャップは育児満足度や心理的健康に影響を及ぼす可能性があり、その関連要因を明らかにすることは育児支援を検討する上で重要な課題である。本研究は、この課題に取り組み、多様な育児を支える基盤的知見の構築を目指している。
- 研究内容の概要Overview
- 本研究は、出産後の母親を対象とし、乳児の栄養方法に関する理想と実際の選択・実践との間に生じるギャップの実態とその要因を明らかにすることを目的としている。母親の理想は多様な背景や価値観、健康状態、家族や社会的支援などによって形成されるが、必ずしも実現されるとは限らない。本研究では、この理想と実際のギャップを数量的に把握するとともに、母親の経験や意味づけを質的に理解することにより、両者を統合的に捉えることを目指している。これにより、乳児の栄養方法をめぐる母親の理想と実際を多角的に明らかにする基盤を築く。
- 研究成果をどのように社会に役立てるか
(還元の構想)Giving back to society - 本研究により、乳児の栄養方法に関する母親の理想と実際のギャップに関連する要因が明らかとなる。これは、母親の多様な育児に関する理想と実際を理解する上で重要な基盤となり、支援を画一的に提供するのではなく、個別性や背景の多様性を尊重した支援の方向性を示すものである。さらに、母親の体験に根ざした知見を提示することで、地域の母子保健施策や臨床実践において、母親の声を反映した支援体制の検討が可能となる。これらは、母親が安心して育児を選択し、社会全体でその多様な選択を支える環境を整えるための実証的な基盤となり得る。