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- 2025.01.27
- SPRING「起業・アントレプレナーシップ養成講座」(第3回)を開催しました
2024年1月14日(火)16:30-18:00 地域イノベーション開発拠点C棟3階 地域イノベーションホールにおいて、22名の学生が参加し、「起業・アントレプレナーシップ養成講座」(第3回)が開催されました。
今年度より開始した三重大学SPRINGでは、キャリア開発・育成コンテンツとして、各種講座を開催しておりますが、「起業・アントレプレナーシップ養成講座」では、事業化や起業の経験を有する実践者をゲストスピーカーとしてお招きしています。
今回は、起業家としてご活躍されている株式会社バンザイ・ファクトリー 代表取締役 高橋和良様をお迎えし、「3.11東日本大震災の年から博士課程で学んだ事で何が得られたのか」というテーマでご講演をいただきました。
本会の冒頭では、講座の代表を務める研究・社会連携統括本部 知財ガバナンス部門 八神寿徳 准教授から挨拶があり、講座が開講となりました。
高橋和良(たかはし かずよし)様は、岩手県紫波郡矢巾町のご出身で、幼少期の一時期を陸前高田市で過ごされました。就職で大手企業に勤めた後、医療画像処理・医療ITシステム開発会社を設立し、成功を収めました。
その後、同社を大手企業に売却し、夢であった秋田県田沢湖岬に家と工房を建て、岩手の伝統工芸素材とIT技術を結びつけた商品の開発を行いました。
2011年3月11日 東日本大震災が発生し、高橋様のふるさと陸前高田市も甚大な被害に遭われました。
高橋様は2011年4月、ふるさとの震災復興に立ち上がるとともに、かねてより交流のあった川中教授の研究室と共同研究を行うため、本学の工学研究科博士課程に入学されました。
2012年8月には、陸前高田市に工場と自宅を建設し、現在まで株式会社バンザイ・ファクトリーの代表取締役として椿茶の生産、木工品の製造、ワカメ加工品の製造などを手掛けられています。
この事業を行いつつ、2017年には博士号を取得されており、ご講演ではこれまでの事業の展開と大学との関りについてもご紹介頂きました。
また、東日本大震災からの復興にあたり、一般社団法人レッドカーペット・プロジェクトの代表理事として、被災地に椿を植える活動にも取り組まれています。
高橋様からは、現在取り扱う製品をどのような思いや考えで開発を行ったのか、事業での失敗談やどこに目をつけて研究を進めたかなど、経営者と研究者として参考になるお話を頂きました。
多岐にわたる様々なお話を通じて、「博士課程を振り返ると、研究、発表、論文作成に至る過程から、物事の考え方や捉え方の癖を身に付けることができた。博士課程は『物』と『事』の考え方、哲学が備わっていくように感じられる時期である。最も大事な人生での学びの期間になれるチャンスである。現在の立場では、お客様に直接役に立つ研究が出来るのが博士であり、博士持っていないと大手と話ができないものである」とのことでした。
高橋様と学生との質疑応答では、「起業の際、他にないもの創る。世界を見据えた夢が人生には大事だと教えられた。そのためには、知識を学ぶことと、目の前の状況に対して"なぜを問い"、"その解を得る"そのためには研究が必要だった。博士課程はそのプロセスを身に付けることができる夢のある課程であるので、頑張ってください。」との激励のコメントを頂きました。
高橋様のご講演は、参加した学生にとって、あらためて「博士の学位」の意義に触れ、その取得に向けたプロジェクトを立てて進める能力が、必ず将来役立つものであることを再確認できた機会となりました。
続いて開催した第2部の交流会は、場所をレストラン「ぱせお」に移し、開催されました。より気楽な雰囲気のなか、講座中に質問できなかったことや、さらに具体的な内容、裏話など、様々なお話が交わされとても有意義な時間となりました。
会の最後は学生を代表して生物資源学研究科D2の木藤裕也さんから、感謝の意を示しつつ挨拶によって会が閉じられました。
高橋様にはお忙しい中、三重大学SPRINGへご協力頂き心より御礼申し上げます。
三重大学SPRINGでは、引き続き関連企業様のご協力をいただきながら、実践知と実社会に触れる博士人材の育成策を通じて、世界と日本の未来つくりに挑戦する人材育成に取り組みます。